少額訴訟制度について

少額訴訟手続きは、60万円以下の金銭の支払を求める訴えについて、原則として1回の審理で紛争を解決する裁判手続です。

訴訟というと、弁護士に訴訟代理を依頼しなければならならず弁護士費用が多額ななるとか、判決までに長い時間がかかるとか、費用も時間もかかるという一般には利用しづらいイメージがありますが、少額訴訟は、市民間の規模の小さな紛争を少ない時間と費用で迅速に解決することを目的として、1998年(平成10年)に設けられた訴訟制度で、最初は訴額30万円までの訴訟に限り利用可能な制度としてスタートしましたが、予想を超える利用者があり概ね好評であったため、2003年(平成15年)に、現在の訴額60万円に変更されています。

平成30年度の司法統計によると、少額訴訟既済事件数は7,070件で、このうち弁護士又は司法書士が訴訟代理人として関与した事件は948件で全体の14%未満です。

少額訴訟は、60万円以下の金銭の支払いを求める訴えで、証拠資料がほぼそろっており、被告が原告の主張に対して概ね認めている事件について審理されます。
例えば、アルバイト社員に対する賃金の不払いや、賃貸住宅からの退去に際して敷金の返却がなされないとき、あるいは、個人間の金銭の貸し借りで少額なものなどについてよく利用されています。

逆に、証拠資料や証人が多くて一日で審理しきれないのが明らかなときや、被告が原告の主張を認めていないときは、少額訴訟制度を利用することはできず、通常の訴訟手続きによることになります。

なお、少額訴訟手続の利用回数は、1人が同じ裁判所に年間10回までに制限されています。
これは、頻繁に少額訴訟を利用することが予想される消費者金融業者などの利用を抑制し、一般の方が利用しやすいようにするためです。

少額訴訟制度の利用の流れは次の通りです。

  1. 訴えを起こす人(原告)が少額訴訟手続による審理を求める訴状を簡易裁判所に提出
  2. 訴状を受け付けた裁判所は最初の期日を決め、訴えを起こした人(原告)と訴えられた人(被告)の双方に通知。被告に対する通知には、訴状の副本とともに、口頭弁論期日呼出状、少額訴訟手続の内容を説明した書面、答弁書用紙、事情説明書が同封されてきます。
  3. 原告及び被告は、最初の期日までに、裁判所に対しすべての証拠資料の提出を済ませます。被告は自分の言い分があれば答弁書や証拠資料を裁判所に提出して主張します。原告は、被告から提出された答弁書や証拠資料に対する主張があれば裁判所に新たな資料を提出します。
  4. 最初の期日、裁判所は、原告及び被告が出席のもと、事前に提出された主張や証拠について審理し、判決を言い渡します。
  5. 当事者が判決を受け取った日の翌日から起算して2週間以内に異議を申し立てなければ、確定します。確定すると、判決の内容を争うことができなくなります。
  6. 少額訴訟制度による判決の内容に不服であっても、控訴をすることができません。

代わりに「異議申し立て」という手続きがあります。
原告及び被告の双方はいずれも判決に不服がある場合には、判決をした簡易裁判所異議の申立てをすることができますが、異議申し立てをすると、通常訴訟(通常の形式の裁判)に移行することになるので、少額訴訟のメリットがほとんどなくなってしまいます。

また、被告には通常訴訟を選択する権利が認められています。原告が少額訴訟を提起しても、被告が通常訴訟での審理を希望すれば、最初から通常訴訟に移行します。
従いまして、少額訴訟制度は「確実に勝訴できる見込みのある事件」の場合に利用していただくことをお勧めします。

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